明けましておめでとうございます

2024年最初のブログ投稿です。あれよあれよと2023年はすぎていき、2024年に突入しております。2023年はありがたいことに竣工物件が3件ありました。竣工写真をアップする時間さえないのが問題ですが、飛躍の1年だったと思います。

 
 

2024年は「桟橋のある家」の着工から始まります。減額調整でかなり長い時間を費やしたので、やっと着工できる!という喜びでいっぱいです。北海道の戸建住宅と都内の狭小カフェ兼住宅物件も絶賛設計中です。北海道のプロジェクトはファーストプレゼンで設計をとても気に入っていただきました。これから具体的なご要望などを取り入れて設計を詰めていきたいと思います。狭小プロジェクトは難問すぎてまだ解決策が出ておりません。なんとかお施主様の気に入る設計にたどり着くよう尽力するのみです。

暗いニュースが続きます。祈ることしかできない自分を不甲斐なく感じます。それでも祈りは続けます。どうか、これ以上の犠牲者が出ませんように。そして、どうか生きる力を持ち続けられますように。

減額調整

今日はあんまり話題にしたくないお金のお話。

一昔前の「坪単価80万円でいい家が建った」という感覚はもう通用いたしません!と声を大にしてお伝えしたいです。そもそも消費税10%が導入された時点でその金額は88万円になるわけで、価格がどんどん値上がりして、省エネの基準がどんどん厳しくなるのに同じ金額で建つわけがない。海外の物価は2倍3倍に跳ね上がり、輸入資材も郵送費も全てコストアップ。ウッドショックで合板一枚でさえ単価アップ。金属単価アップでアルミサッシもガルバリウム鋼板の金額もアップ。業者さんの人件費もアップ。ガソリン代もアップ。いやぁ・・・本当に厳しいです。テレビ番組の「こんなに安く建てました!」という都合のいい話の多くは外構費やエアコン設備工事費や消費税を除いた金額。絶対に鵜呑みにしていただきたくないです。ただ、コストを恐れて夢を見ないでくださいとお伝えしているわけではございません。見積もり前は思い存分夢を見る時。見積もり後は現実と向き合う時。減額調整を決してネガティブに暗く捉えるのではなく、自分にとってのプライオリティとは何かを理解した上で減額調整に臨むと、そのプロセスも案外楽しくできるものです。

戸建住宅ではないですが、リフォームも然り。C邸のマンションリフォームはやっと減額調整が終わり今月中に着工を予定しております。予算は十分あるとお施主様も私も思っていましたが、見積もりが返ってきて、現実を突きつけられました。40平米ちょっとのスケルトンリフォームで1000万円超えだったのです!キッチンは大きく減額できた項目の一つだったのでこちらで紹介したいと思います。下のイメージが原案。半オーダーメイドのレンジフード(←本当に高かった!)、手の届かない位置にある吊り戸棚(←かっこいいけど、手が届かないと普段使いできないですよね)、カウンター下は全て引き出し(←これはキープしたかったけど、引き出しは高い!)最高峰の浄水器シーガルフォーの導入(←最高峰出なくても美味しい水は飲める!)などが高い理由でした。

 
 

減額調整第一弾では半オーダーメイドのレンジフードを照明器具付きの既製品に変更、レンジフード横の照明器具の中止、手の届かない吊り戸棚を中止、カウンター下の引き出しの一部を観音開きの扉に変更、浄水器とキッチン水栓を一体に変更、浄水器を一般的なものに変更。これで約60万円(税別)の減額。

 
 

あともう少し減額したかったのでお施主様と相談して減額調整第2段ではガスコンロは施主支給、吊り戸棚を全て中止して棚を2枚設置。これでオッケーをいただきました。この変更によって御施主様が不自由することは何一つなく、むしろ、この棚の上にどんな素敵なものを置こうかしらというワクワクの楽しみが増えたようです。灰色の配分が減り、空間が明るくなったのもプラス要素。この一連の減額調整で約90万円(税別)減額できたし、御施主様の提案も取り入れることができたし、減額調整ってポジティブに捉えることができる!という成功例でした。

 
 

御施主様の中には建築家にこの予算でお願いしたのに、予算オーバーの設計をするのはプロとしてどうだろうかとお考えの方も多くいらっしゃると思います。ただ、建築家は御施主様にとって最高の設計を提案するというのがプロとしての仕事だと思っているので、ご要望リストを元に予算は心の片隅に置きつつも御施主様と一緒に大きく夢を見てしまうんですよね。価格の高騰も我々の想定以上、見積もりが返ってきて初めて現実と向き合うことが多いです。弊社では減額調整に時間がかかることを契約前からお伝えしております。ハウスメーカーさんだと設計当初から金額がわかるという意味で安心して頼めるので、そこが建築家+工務店にお願いする時との違いなのでしょうか。ただ、唯一無二という意味ではやっぱり建築家+工務店をおすすめしちゃうなぁ・・・

近況

3月から全くブログを更新できていない状況に驚いています。5ヶ月間、プライベートも含め、猛烈に走り続けて今に至っております。6月の終わりと7月の初めに見積もり図面2件分提出し、「丘の家」の竣工・引渡しに向けての追い込みがあり、7月は私用メインでアメリカに3週間滞在し、帰国後は家族の不調が続きその世話で仕事が捗らず、私自身も咳が止まらなかったり、アデノウイルスに罹ったりで、今日になってやっと落ち着いて5ヶ月分の報告ができている感じでしょうか。「丘の家」は引渡しを済ませ、新築戸建物件のO邸とマンションリフォームのC邸は減額調整中、ファーストプレゼン予定の新規物件が2件。札幌市と台東区の敷地は訪問済。どちらもまだ契約前なので契約できるよう尽力するのみ!いやぁ・・・ホットな毎日ですね。仕事もお天気も。下の写真は「丘の家」の引渡しの時の写真です。旦那様が素敵な写真を撮ってくださいました。

 
 
 
 

「丘の家」のお施主様が引渡し後に野芝を入れてくださったので剥き出しの土の状態からとてもいい雰囲気に変わりました。手前にはアナベルという白い紫陽花が植えられています。アナベルの花言葉は「寛容」とか「一途の愛情」だそうです。「丘の家」は大雨の日の水の流れが悪くかなりの御心労をおかけしてしまい、私はお施主様の「寛容」さや家に対する「一途の愛情」に甘えてたのかなぁ・・・なんて反省することも多いです。前職でお世話になった手塚貴晴さんは「弊社の家は100%完璧の家ではないけど120%施主が満足する家だ」とよく仰っていたことを思い出します。まる・ちの設計も100%完璧ではなく、使いにくいところもあるけれど、それでも120%満足できる家になってくれるといいなと思いました。下は昨日訪問した時の写真です。お施主様はこの家をこよなく愛してくださっていて建築家としてこの上ない喜びを感じました。

 
 

「丘の家」のキッチンは至ってシンプルです。個人的に冷蔵庫などの大きな電気機器の存在を消したいため、冷蔵庫と電子レンジはウォークインクローゼットに隠す設計となっています。多少使いにくいですが、多少の使いにくさは許容してくださいました。オープン棚の上には一つ一つ丁寧に選ばれた食器や調理道具が置かれてあり、お施主様の「もの」に対する愛情を感じます。手前にあるテーブルはこの家のためにご購入されたらしいのですが、なんと栃木縣足利高等女學校と焼印されているそうです。明治42年に設立された足利郡立足利高等女學校が1923年に栃木縣足利高等女學校と改名したらしく、その時のテーブルなんですね。ちょうど100年前!そのテーブルが色々な場所を旅したのかは存じていないのですが、そのテーブルの原点である栃木県に戻ってきたくなったのでしょうか。「丘の家」のある栃木県に戻ってきたということらしいです。「もの」にも気持ちがあるのでしょうかね。とても素敵なエピソードだと思いました。

 
 
 
 

他にもいろんなことをブログで共有したいのですが、文章書きが苦手な私としてはブログひとつ書くのにも苦労をしておりますので、時間の許す限り投稿をする予定です。一匹狼で事務所をしているのですが、スタッフいたら心強いなぁ・・・なんて思う時もあったり・・・もし、私と一緒に仕事をしてみたいという情熱のある方がいらっしゃいましたら、求人広告は出していないのですが、是非、DMしてください。英語のできる方、健康的に働きたい方、とことん人間が好きな方、真面目な方、Auto CADを使える方、そんな方だと嬉しいです。

Sオフィス竣工!

怒涛の数ヶ月がすぎ、やっとブログを書く余裕が生まれました。そして気がついたらSオフィスは竣工、引っ越し。今週から始業。昨日は松本零士作品を飾りに、そしてみんながどんな感じに働いているかを見に行きました。生き生きとしている。楽しそう。嬉しそう。いろんなところから笑い声や話し声が聞こえる。全ての部屋や動線が設計以上に利用されているのを確認できました。私も思わずニコリ。

 
 

お話をいただいた時からどんな空間だったら楽しいだろうか。チームとのコミュニケーションが捗り、息詰まってもどこかで息抜きできて、アイディアが溢れ出し、プロフェッショナルだけど家にいるように落ち着けて、自分の居場所を見つけられるような事務所。欧米諸国からいらした社員が多いからこそ、空間は贅沢に使い、リビングルームでは社員全員が集まってゲームで遊んだり、映画をみたり、音楽を聴いたり、プロジェクトの進捗を発表したりできるようにしたい。可動式のソファを移動したらヨガをしたり、ストレッチをしたり、人間すごろくをしたり、アートを作ったりなんでもできる空間。リビングの反対側にはライブラリー。アートやプログラミングの本を見てインスパイアされて、よりいいゲームにつながるようにしたい。

どの部屋やエリアにもたくさんの熱い思いのこもった設計なのですが、まだちゃんとした写真がなくて・・・カーテンと植栽が入った後、写真撮影をプロにお願いする予定です。

 
 

Sオフィスはゲーム会社。ゲーム会社だからというわけではないのですが、社長は面白いことが大好きなので設計で遊べるところは思いっきり遊んでいます。アクセント壁の色も、照明設計も。照明設計は本当にファンキー。色が変えられるので、あえてピンクにする設定や青にする設定も盛り込み、ここだ!というときに使えるようにしています。弊社の空間設計とEOS plusの照明設計の相乗効果により、Sオフィスの企業ビジョンが3次元で表現されていると言っても過言ではないです。

 
 

今回の設計は弊社が得意とする住宅設計とは違うブレインを使う機会となりました。いずれにせよ、設計には変わりないわけで、非常に楽しかったです。怒涛の数ヶ月が終わり、これからはO邸とC邸の図面描きと「丘の家」の現場監理に集中いたします!!!

オフィスの改築

気がついたら、ブログを放置しておりました。この1-2ヶ月は2つのプレゼンの準備やら、プライベートの理由やらで非常に忙しく、やっと今落ち着いて作業ができている状態です。プレゼンの一つはオフィスの改築でした。下の写真の540㎡の殺風景なテナントスペースが現状。天井のうるささが気になりますね・・・

 
 

こんなに広いのですが、天井の高さが2.5mしかなく、排煙の関係上、その高さを変えることができないです。また、予算にも限りがあるので、どこまで提案していいものなのか迷ってしまいますが、とりあえずはやりたいことを見せよう!と思って、二つのオプションを提案させていただきました。

 
 

今回のプロジェクトで難しいのはほとんどの打ち合わせをオンラインでしていること。通常は模型を手にとっていただいてワクワク感が高まるようにしていただくのですが、それがないとなると・・・弊社の未知の世界であるレンダリングワールドに足を突っ込まざるをえないですね。

 
 

ということで、今回は新しくソフトを学び、模型を手に取っていただけない御関係者様にレンダリングで多少なりとも雰囲気が伝わるようにいたしました。こちらのレンダリングソフトはEnscapeというソフトなのですが、人のサンプルがたくさん用意されてあり、その多くが日本人には見えない方だったので、非常に助かりました。今回設計しているオフィスのほとんどの方が日本の方ではないので、雰囲気が伝わりやすかったと思います。でも、リアルでセクシーなレンダリングにはほど遠いですね。雰囲気を伝えるという意味ではこのくらいでいいかな?

 
 

お施主様はデザインをとても気に入ってくださったのですが、机などの配置等を変えて、よりいいものにしていくことになりました!こちらは全く時間がないプロジェクトなので大急ぎで設計を進めております。出来上がりが楽しみすぎます!

「丘の家」工事請負契約

やっと、やっとのことで「丘の家」は工事請負工事にたどり着くことができました。本当に長い減額調整でした。コロナ禍によりアイミツ3社から「え?」って顎が外れるような見積もりが提出されたのが今年の2月の初め。3社の金額の開きは660万円あったため、1社に絞ってからここもあそこもと必死になって減額を試みました。弊社が提案できる減額項目はもうないです!とお伝えせざるを得ないところまできて、お施主様からOKをいただきました。一社に絞ってから900万円ほどの減額をしたのですが、それでも当初の施主の予算よりも大幅にオーバーだったため、お施主様のご理解に感謝しかありません。

 
 

減額調整によって、木製建具を玄関扉以外全てアルミサッシに変更し、大きな庇のキャンチの範囲を縮小させ、在来のシャワー室をユニットシャワーに変更し、間取りの変更をすることで建具の数を減らし、天井の高さを低くし、全体的にこじんまりとさせました。数え切れないほどの変更があったのですが、シンプルで美しい家屋になると信じております。

 
 

現場はお盆すぎから始まるのでとても楽しみです。気を引き締めて工務店と二人三脚で頑張っていこうと思います!

Paul Hayden Kirk

先日アメリカからとある家族が自邸に遊びにきてくださいました。奥様は10年以上前から私の個人ブログの読者でいらっしゃる方で、旦那様とセミリタイヤ後に東京で家を建てることを予定していらっしゃいます。初夏の陽の光が燦々と差し込む自邸のリビング・ダイニングにて楽しく東京の家についての思いを語っていただきました。後ろ姿は奥様と息子さんです。

 
 
 
 

御夫妻はモダン建築が大好きで、今住んでいらっしゃる家に落ち着くまで、赤ちゃんだった息子さんを連れて何百という物件を見て回ったそうです。そしてその家はアメリカ北西部のモダニズム建築家を代表するPaul Hayden Kirk設計。なんという奇遇でしょうか。14年ほど前「ここだ!」と私が一目惚れをして結婚式披露宴を催したのもPaul Hayden Kirk設計の建物だったのです!(こちらにてUW Faculty Clubの紹介がされています。)

これを「御縁」というのでしょうか・・・嬉しいです。

 
 

UW Faculty Clubをもう一度見たいなぁ・・と披露宴の写真を見始めたら止まりませんね。懐かしいです。結婚式は何から何まで手作りで当日は疲れていたこと思い出します。ウエディンケーキの上の飾り付けは私がレーザーを使って夜な夜な作りました。ケーキの上にある家もモダニズム建築ですね。笑。

 
 

私が20代から始めたどうしようもなくまとまりのないブログの読者の方がこんな風に建築作りの相談をしに実際に訪問いただくことになるとは想像もだにしなかったので本当に嬉しいです。20代でも建築に対する熱い思いは発信していたのでそれが通じたのでしょうか。自邸もとても気に入ってくださり、とても充実した時間を過ごすことができました。数年後の話ですが、このプロジェクトが前に進む日が待ち遠しいです。私のブログを見つけてくれて、そして弊社に連絡をしてくれて感謝しかないです!

コロナのおかげで道が面白くなりました

コロナは我々の日常生活に大きく影響を及ぼし、その変化の多くは否定的な意味合いの言葉で表現されがちです。しかし、在宅勤務による効率化、クレジットカードの普及、サービスのデジタル化、出前アプリの充実化などをはじめ、ポジティブな変化もあることを忘れてはなりません。そのポジティブな変化の一つを遥々遠く、アメリカはカルフォルニア州のパロアルトと言う町で見つけました。日本でも多少は見られる変化なのかもしれないのですが、さすがはアメリカ。とにかく大胆にわかりやすくやってくれるため、その恩恵は街ゆく誰もが感じるものとなっています。コロナ禍で悪戦苦闘するレストラン産業への救済策として、そして利用者がより安心して外食を楽しめるようにとパロアルトの街では普段縦列駐車に使われる道路の一部を簡易な手続きさえ済ませればレストランが飲食を提供するダイニングエリアとして利用してもいいということになっています。歩道を歩くと楽しそうな会話が聞こえたり、美味しそうなお食事を覗き込むことができたりと、なぜかレストランを利用していない通行人までもが不思議と楽しい気持ちになります。

 
 

こちらの道路は一部を完全に閉鎖して歩行者天国にしています。両側のレストランが思い思いの椅子とテーブルを並べ、道を活性化し、コロナ禍で塞ぎがちな気持ちを明るく前向きにさせてくれます。街全体が外食産業を応援している姿は見ていて気持ちがいいですね。

 
 

コロナが心配だけど、屋外での飲食なら安心かも!そして雰囲気も良ければついつい一杯、いや、お食事?したくなりますよね。この救済策ですが、実はコロナが始まった年、2020年の夏には至る所で簡易な工事が始まったそうです。縦列駐車スペースの確保よりも、道の活性化、レストラン産業の救済を先に考え決断を下したアメリカの地方自治体に、なんというか、逞しさと羨ましさを感じます。日本は道が狭いからこういう案が出てこないのか?それとも難しいと言って行動に移さないだけなのか。室内での飲食は感染率を高めるので外食を控えている人は多いはず。日本でも実験的にオープンエアダイニングを可能にするエリアを作って外食しやすい環境、街を活性化させる策を考えて頂きたいと切に思います。どの駅前にも商店街がありますが、商店街全体的を歩行者天国にして、至る所に椅子とテーブルをセンスよく配置したら、案外日本でも面白いニューノーマルが生まれるのではないかと想像してしまいます。

 

「舞台の家」の一年点検

「舞台の家」は去年の年末に一年点検をして、今年に入ってから修理工事をいたしました。どんな住宅も落ち着くまでに時間を要します。木造住宅は乾燥する過程で全体的に動きが生じるため、塗装壁に亀裂が入ったりするのは通常のことであり、「舞台の家」も例外なく竣工当初から塗装壁に亀裂がありました。しかし、竣工当初に入った亀裂をその時点で修理しても、また同じところに亀裂が入る可能性が高いため一年点検まで待っていただくのも通常です。「新居なのに、クラック?」と思われるかもしれませんが、塗装壁の宿命と考えてください。また、修理をしたとしても地震等で同じ箇所にクラックが入る可能性もあります。塗装壁には必ずクラックが入ります。しかし、それ以上の利点と美しさがあるため弊社は壁紙よりも塗装壁を好みます。

 

1年点検の修理は追加工事がない限り無償であるため、工務店にとっては利益の出る工事ではありませんん。よって修理も必要最低限でするのかな?タッチアップくらいの修理かな?と思っていたのですが、山菱工務店は外壁の修理も含め、全体的に塗装をしてくださいました。

玄関扉のハンドルによる傷もこの通りです!

 

塗装以外にも細かい修理が数点ありましたが、どこも丁寧に対応して頂き、新築のような家にお施主様もとても喜んでいらっしゃいました。弊社は工務店に非常に恵まれております。竣工物件は少ないですが、どの物件も素晴らしい工務店とお仕事をさせていただいておりまして、その高い技術と職人魂にはいつも感動しています。一年点検でそもそも大きな問題がないのは施工がいいからなんですよね。本当にありがたいです!これからも「舞台の家」が美しく成長しますように。

 
 
 

「建築家になろう」手塚貴晴

今日は私が建築家になる上で一番影響を受けたと言っても過言ではない前事務所の建築家、手塚貴晴の言葉を紹介しようと思います。建築家という職業はなんとなく華やかに聞こえますが、限りなく地味な職業であり、決して大金儲けができるような職業ではありません。それでも、こうやって私を含め多くの建築家が建築家であり続けたいと思うのは手塚さんの言葉の通り、この上なく幸せな職業であるから。お施主様の夢を一緒に見られる。お施主様のご要望を建築家の職能で形にできる。笑顔が生まれる。素晴らしい建築には日常の過ごし方や考え方でさえも変えてしまう力がある。設計には計り知れないほどの時間と労力が費やされますが、それでも、お施主様が出来上がった建築への喜びを感じている姿を見ると、それが喜びの波動として我々にも伝わり、その幸せの連鎖が病みつきになっちゃうんですよね。毛穴のレベルで。

先ずは、手塚さんのメッセージからどうぞ・・・


「建築家になろう   建築を学ぶ学生達へ

建築家は競争相手が多い仕事である。競争相手が多いということは、その分野で出世しても大金を稼ぐことはできない。私の師匠である巨匠リチャードロジャース卿にしたところで、少々普通の人に比べて裕福であるという程度である。建築家で巨大ファンドを築いた人物などいない。どんな有名な建築家であろうとも、日々預金を心配しながらセッセと仕事をしている。もしかすると私の見解は間違っているのかもしれない。しかし私の知っている世界の建築家像はそんなもんである。ヴェニスでしばらくご一緒したピータークック卿Peter Cookも、普通の人と同じようにバポレットという水上バスに乗っていた。カッコよく高価な水上タクシーを運転手付きで飛ばしたりしないのである。我が師匠のリチャードロジャース卿は自転車通勤をしていた。最初は交通違反で捕まって免停になったのが始まりだが、その後も「健康の為に自転車に乗りなさい。」と奥さんに鍵をとりあげられて、雨の日もびしょびしょになりながら自転車で通っていた。私の知っているスーパースター達はそんなもんである。ロックの世界であれば、スーパースターはランボルギーニやフェラーリのようなスーパーカーに乗っているか、運転手付きのロールスロイスやベントレーに類するリムジンの後部座席に座っている。お金のある建築家もいるが、その人はたいてい建築設計で財を成したわけではない。建築設計はたいして儲からない職業なのだ。なぜそれなのに皆建築家になりたいのだろう。なぜ建築学科の偏差値は高いのだろう。それは人という動物がお金だけの為に生きているわけではないからなのである。建築家はこの上なく幸せな職業であるからなのだ。たいして稼げはしないが、人並みの生活はできる。頑張ればそこそこのお金は稼げる。繰り返すが決して大金持ちにはなれない。

似たような職能にシェフというものがある。勉強の為に我々は食べ歩きをする。時には途方もない贅沢をする。そうしないと客のニーズが理解できない。時折素晴らしいシェフや板前達と出会う。学生達はその華やかな経歴を見て、さぞかし優雅な日々を送っていると思う。とんでもない。建築家も大変な職業だと思うがシェフはもっと大変な職業である。私生活というものがない。有名な人ほど無茶な生活をしている。夜中12時まで働き朝4時起床。奈良井宿のシェフ友森 隆司は毎朝夜明けに野山を歩き回って山菜を1人で摘んでいる。等々力の會の大将は毎朝4時起きで自分で仕入れに出かける。どうして体を壊さないのか不思議である。しかし辞めない。

競争相手の多い職能は概して古い。建築家やシェフという職能は人間そのものの存在と同じ歴史を持っている。古いから競争相手が多い。逆にいえばこれからも存在し続ける職能である。その意味するところは、古い職能は人の生活に不可欠な存在であったし、これからもあり続けるということを意味している。人工知能がいかに発達しようと、そういう職能は無くならない。なぜなくならないかと言えば、人と幸せをシェアするということが目的だからである。ここでは敢えて建築家あるいはシェフという称号を使っている。実はこういう称号は公に存在しない。この称号を使っている人たちは、人の生殺与奪を超えて余計なことをする。栄養をとったり風雨を凌いだりという機能だけでは、この職能の人たちがなぜ努力するのかということを理解することはできない。しかし人はこの余計という部分がないと生きていけない。言い換えれば余計なことをするから人間が人間であると言って良い。余計なことがないと人間は幸せになれないのだ。シェフにとってはお客さんの笑顔が最大の報酬なのだ。

歴史が古い仕事であるということは、人類の存在そのものに関わる大切な仕事だということなのだ。必要な仕事なのだ。だから良い仕事をすれば必ず誰かが幸せになる。誰かが幸せなる分だけ自分も幸せになる。目先のお金を稼ぐだけの仕事ではそれが起きない。

最近建築学科を出た優秀な学生が、少々給料が高いからということで、建築設計以外の職業を選ぶ事例が多い。しかし、一歩踏みとどまって考えて欲しい。建築家は頑張れば必ず良いことがある職業だから。

(乱文ですが若き建築家を育てたい方々はシェアして頂けると幸いです。最近ホントに優秀な若者達が次々と道を外れてしまうのが残念で。。)

手塚貴晴


ここからは私の文章です。

シェフがシェフであり続ける理由も建築家が建築家であり続ける理由も手塚さんが仰る通りとても似ています。シェフという職業の素晴らしい点はシェフが作る作品の工期が非常に短いため、一晩で多くの人に笑顔と感動を届けることができる。そして、人間の3大欲求のひとつである食欲を満たすことができるためその感動は非常にわかりやすく伝わってきます。建築家がもたらす幸せは残念ながら人間の3大欲求とは無関係。しかし何が素晴らしいかって、建築は一度建つと時がたっても複数の人に感動を与え続けることができることです。そこに老若男女、国籍、宗教、世代などの制約は一切ありません。私が愛してやまないSALK INSTITUTEの建築家LOUIS KAHNは当たり前ですが私のためにこの建物を設計したわけではありません。しかし、彼は完成約半世紀後に日本人である私に底知れぬ感動を与えてくれたのです。彼はこの世からいなくなってもこの建物が在る限り無数の感動を与え続けています。

それでは住宅設計はどうなのでしょうか。住宅設計には住宅設計なりの醍醐味があります。住宅は特定の人に限定されてしまうのですが、その特定の人が日々生活をする場所であり、小さな感動を毎日与え続けることができます。毎日ですよ!この小さな感動の波紋は公共施設が与える感動とは違う意味で建築家が建築家でありたいと思える原動力につながります。建築家という職業は大小関係なくそんな幸せの連鎖に関わることのできる職業であり、この上なく幸せな職業だと私も思うから、多少稼ぎが悪くてもやることがとてつもなく膨大で寝不足で髪ボサボサでも建築家以外の仕事が目に入ってきません。

建築に興味のある学生さんが弊社のブログを読んでいる可能性は低いと思いますが、それでも建築家の職業が人を幸せにする、人を笑顔にする、感動をもたらす素晴らしい職業であるかを私も伝えたいと思い、手塚さんに許可を頂いて手塚さんの言葉と私の考えを紹介させていただきました。




見積もり

もうすでに1月も終わり。
早いですね!弊社は去年の10月ごろからスロースタートで稼働しております。生まれたばかりの赤ちゃんを隣に細切れ時間で図面を進めたり、新規プロジェクトの対応をしたり、年末年始は「丘の家」の見積もり図面提出に向けて夜な夜なコンピューター画面に向き合う日々を過ごしたり・・・。可愛い赤ちゃんを隣に働ける恵まれた環境に感謝の気持ちでいっぱいで、この感謝をアウトプットするぞ!と使命を感じながら2022年を迎えております。
下の写真は見積もり図面提出前最後の施主打ち合わせの写真です。

 
 

さて、現在「丘の家」は見積もり中です。ローカルの工務店と仕事をしたことがないため、建築家の知り合いやお施主様、建築雑誌などから情報を得て数社に連絡をとり、今回のプロジェクト規模や内容、弊社との相性等を加味して3社に見積もりをお願いいたしました。本当は実際にお会いして、模型を手にとっていただき、弊社設計の自邸を体感していただきたかったのですが、オムクロン、5時間以上の往復移動時間はいかがなものかと思い直し、オンライン/ズームでの提出に変更いたしました。なによりも時間と健康の大切さは子供が出来てより身に沁みて感じているため、この変更は正解だったと思っています。
下は最新の模型写真です。最終設計と異なる箇所もありますが、お施主様に雰囲気は伝わったと思います。

 
 

2月始めには見積もりが返ってくる予定ですが、コロナ、ウッドショック、全体的な建材の高騰、色々の理由が重なり、ザワザワした気持ちを払拭することはできませんが、大きく一歩前進した喜びを感じております。早く建てたいです!早く建てて、お施主様に笑顔で使っていただきたいです!建築は使ってもらってナンボですからね!

(余談)娘が隣でウーウーと唸ってかまって欲しいらしく、45分抱っこして先程やっと寝てくれました。きっと15分後には起きると思いますが、この15分が貴重な時間なのです!15分以内に書き上げなくては!→5分後に起きちゃいました(苦笑)よって投稿できたのは子供就寝、キッチンお片付け後の夜10時となりました。

工期約9ヶ月。プロジェクト完成。

3年前にも似たような投稿をさせていただいたのですが、ちょうど1ヶ月前の今日、重要なプロジェクトが完成いたしましたので報告いたします。平均工期である10ヶ月でスケジュールを組んでおりましたが、諸々の理由が重なり、工期が3週間ほど短縮され、この1、2ヶ月はあれよあれよと慌ただしく過ごしておりました。ご察しの通り、プロジェクトは人間でございます(笑)

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弊社にはすでにマスコットボーイがおりますが、看板娘も弊社のブレインの癒やしや原動力として活躍してくれること間違いなしです。こちらのプロジェクトは竣工後の数ヶ月間、24時間つきっきりで愛をもってメンテをしないといけないため、他のプロジェクト、新規プロジェクトには少し待って頂く形をとっております。インスタグラムもピタっと止まっておりますが、時間のある時に少しずつ投稿する予定です。復帰は11月ごろを予定しておりますが、メンテの受託先(保育園)の状況次第では時間短縮復帰となる可能性もありますが、どんなにゆっくりであろうとも少しずつ前進して、少しでも多くの方の幸せの背景となる建築設計に携われるように尽力いたします。今後も引き続き応援していただけますと幸いです。何卒宜しくお願いいたします。

「丘の家」 お施主様のブログ

「丘の家」のお施主様が家作りのプロセスをブログで紹介していらっしゃいます。東京に住まいがあるのに、なぜ、田舎に土地を購入して家を建てようとしているのか。どんな建築が欲しいのか。この土地でどんな時間を過ごしたいのか。その熱い思いが伝わってくる面白いブログです。私もチラホラ出ます。弊社のブログより丁寧にプロセスの詳細を記録してくださっているだけではなく、お施主様の目線からプロセスを語ってくださっているので、別荘設計に興味のある方は是非ブログ訪問されることをお勧めいたします。また、話は逸れますが、お施主様は主にフランスから美しいアンティークを探して日本で売っていらっしゃいます。興味のある方はブログのみならず、お店のサイトも是非!

ブログ:フランス古道具 ウブダシ

アンティークのお店:miyawaki modern

 
 

上の写真はお施主様が数週間前に敷地に訪問し、草刈り機で敷地いっぱい刈り込んだ後の写真です。その後はソロキャンをしたそうです。満天の星、きっと綺麗だったんだろうなぁ・・・私が最後に訪問したの2月なので、あまりにも敷地の印象が違くて驚きました。大自然の恵みを享受する丘の上に建つ家の夢をお施主様と一緒に見られること、嬉しくてたまりません。今回は私の出産を挟んでしまうため、スロープロセスとなってしまいますが、それも承知で私にお願いしてくださったこと、感謝だなぁ・・。お施主様ファミリーにとって最高の家を作るのが私の楽しみです。

「丘の家」は実施設計に入りました

「丘の家」は基本設計が終わり、実施設計に入りました。下の模型が最新の模型です。2つの全く違う模型を持って行き、どちらもとても気に入ってくださったのですが、最終的にはこちらに決定。お施主様よりゴーサインをいただきました。大きな三角屋根が特徴の小さな平屋です。室内空間は天井が高く、ロフトにはゲストが泊まれる仕様になっています。

 
Whatever it is, the way you tell your story online can make all the difference.
 

基本設計を終了させるには敷地に対しての建物の位置、間取り、窓の考え等を決定させます。もちろん、見積もりの後、減額調整にて変更せざるをえない箇所は出てくるとは思うのですが、気にいった!これで進めよう!という案ができたら次のステップ、実施設計に入ります。お施主様の細かい指摘を反映させ、平面図も書き直しました。

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週末だけしか利用しない可能性の高い別荘にて空気の流れはとても大切だし、突然の雨でもなんてことないっていう設計がいいですよね。また、自然には虫がいて当たり前。その虫がなるべく入ってこないけど、風の流れは妨げない。そういう設計って大切だと思うので窓の配置、網戸の考え等も丁寧に検討します。

 
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現在は実施設計図面作成中。昨日は構造家の大野様と打ち合わせをいたしました。高低差のある敷地なので地盤面をどこに設定するか、基礎の高さ等、高さ関係を慎重に考えて進めようと思います。また、ディテールによっては建築の印象は同じ平面図でも大きく変わるため、この家に相応しいディテールをとことん詰めていこうと思います。


過程が大事

気がついたら、2ヶ月ほど事務所のブログを放置していました。建築家としてどんなことを考え、感じているかを発信することは大切だと思うので、1ヶ月1回のペースは崩さないように努力をしたいと思います

3月のとある日、「丘の家」のファーストプレゼンテーションをさせていただきました。結論をお伝えするとこちらの案は採用に至らなかったのですが、それでも、いろいろなことを考えて設計したので紹介しようと思います。採用しなかったといえども、この案を元にお施主様から具体的なフィードバックをいただき、お施主様のライフスタイルにあう要素は引き続き次の案に引き継いでいるため、この過程はとても大事です。こんな別荘欲しい!と言う方いらっしゃいましたら、是非、お声掛けください!

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予算が非常にタイトであるため、最初に建てる小屋は、必要最低限の水周り機能を家具の中に固定させ、その他の機能は全て可動式にするというコンセプトとし、予算が許す限り可動式の家具を増やし、畑を作り、倉庫小屋を建て、デッキを拡張し、お風呂ユニットを建て、ゲストユニットを建て、最終的には自給自足の生活の拠点となるヴィラを提案いたしました。ベッドボックスはデッキに移動することも将来的に建てるゲストユニットに移動させることもできます。ベッドボックスの扉を開けて大自然の空気を吸いながらキャンプの気分で寝ることもできるし、雨の日はデイベッドを屋根付きのデッキに移動して雨の音を聞きながら本を読むこともできます。

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上の動画は段階を経てヴィラが完成する様子を紹介しています。画素が低いのか綺麗な動画ではないのが少し残念です。フィードバックを元に後日提案させていただいた案のうち2案をお施主様はとても気に入ってくださり、現在は基本設計終了に向けて2案同時に設計を詰めております。次回の打ち合わせで最終的な形を決定し、図面をどんどん進めたいですね!

日本では売ってない

現在弊社では大自然の中の小さな別荘のプロジェクトのファーストプレゼンに向けてスタディを進めております。シンプルでモダンで品がよくてポエティックでかつ可愛らしい家を目指しています。インスピレーションを得るために、弊社ではプロジェクトのはじまりに世界の建築家の作品にザーッと目を通すのですが、その中で気になる屋根と壁の取り合いがありました。以下の写真がその例です。庇がない。樋がない。木質の屋根と外壁。個人的に樋があまり好きではありません。もちろん内樋と言う方法はありますが、その分、厚みが必要となってくること、コストアップにつながることなどの理由で諦めざるをえないことが多くあります。だから常に他の方法を模索しておりました。

左から、
Walzak by SeARCH
Residence DBB by Govaert & Vanhoutte Architects
Adobo Showcase by Assembly Architects Limited

 
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気になることがあると、回答が見つかるまでリサーチを続けてしまう癖があるのですが、建築家の質疑応答コーナーみたいなところで回答が見つかりました。海外サイトですが・・・なるほど、このタイベックのUV FACADEと言う黒い膜を巻いて、レインスクリーンにしてるということなんですね!これ、是非どこかのプロジェクトで採用したい!と思い、

 
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早速日本のDupontに連絡を入れて、Tyvek UV FACADEについて問い合わせたところ、こちらの商品はヨーロッパで主流の商品らしく、日本では売っていないと言われました。高温多湿の日本にこの商品は向いていないのかもしれないと・・・いや、でも、商品の紹介を見る限り、透湿性があり、防水性があり、風にもUVにも強いと書かれてある。10年の保証付。https://www.dupont.co.uk/products/tyvek-uv-facade.html
どうして日本ではダメなんだろう。レインスクリーンという考えがそもそも日本にはない。だから、以前見つけたEQUITONEと言う材料も前例がないと言われ、結局使えなかった。なんでなんだろう。台風があるから?地震で歪む?かっこいい商品が世界を見渡すと限りなくあるのに、日本では使えないのはちゃんとした理由があるからですよね?

大自然の中で・・・

新年のご挨拶がこちらのブログではまだでしたね!年末から何も進展がない状態・・・失礼いたしました!弊社は今年も楽しく稼動しております。積もり積もった模型と書類の整理も残ってるのですが、土地探しからお手伝いをしている自社ビルプロジェクト、小さな別荘のお話など、まだ具体的にどうこう書けるようなお話ではないのですが、ちょこちょこ色々とやっております。小さな別荘の敷地にはコロナの緊急事態宣言が出る前に県境をまたがなくては!と日帰りで年始に慌てて行きました。敷地へは美しい赤松の並木道を通ります。赤松って当たり前だけど木肌が赤いんですね。

 
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敷地はとても広く見渡す限りのススキ野原。敷地の周りには背の高い樹木が植えられてあり、とても素敵な敷地でした。ネトフリの「アンという名の少女」にはまっている私としてはこの敷地に一目惚れ。可愛らしくてモダンな小さな別荘を設計するのが楽しみです。明日の測量にて樹木の位置や高低差が明確になってくるのでそこから一気に模型作りとスタディをする予定です!

 
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2020年、さようなら

アメリカにいる家族からクリスマスプレゼントとしてキャンドルの道具を頂きました。上からかぶせると火を穏やかに消せるキャンドル消し、長すぎる芯を上から簡単に切るキャンドルはさみ、芯の位置を調整したりロウを削ったりするキャンドルディッパー。この3点セットにトレイもついています。数年前から欲しかった道具。嬉しくて嬉しくて無駄にキャンドルを使ってしまいそうです。

 
 
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さて、今日は2020年最後の1日。あと6.5時間しか残っていません。私は子供が寝たらアロマキャンドルを灯してリラックス時間を取り入れたいと思います・・・

2020年はコロナに始まり、ずっと振り回された印象が強いですが、こんな状況だからこそ、一番大切なこと、一番大切な人を見つけることができた人も多いのではないでしょうか。世界のニュースをみるとどんよりしてしまうこともありましたが、個人的には家族時間が増え、家での平和で平凡で何一つ大きな変化のない日常に喜びを感じることのできる日々を過ごすことができたと思っています。

2020年、お疲れ様。さようなら、そして、ありがとう。

スピーカーシステム

音楽が好きな人は多くいると思います。私もその一人で、それなりにスピーカーを選ぶとき迷いました。しかも機械類は可能な限り見えない方がいいと個人的に思っていることもあり、小さくて目立たないという条件つき。そうなるとBOSEのサウンドリンクMINI IIなどが有力候補に上がってくるのですが、数年前の私はSONYのSRS-X55を購入。現在は廃盤となっていますが、この真四角なスピーカーは今でもお気に入りです。

 
 
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しかしまぁ、スピーカーの世界は奥が深い!現在進行中の(住宅ではないです!)プロジェクトでスピーカーシステムGENELEC5.1のリサーチをしていて、スピーカーの世界の奥の深さに圧倒されています。スピーカーを5つ、サブウーファーを1つ設置するのが5.1というシステムなのですが、GENELECさんのスピーカーには、ウーファーとツイーターを同軸にしたものなど、音にこだわる人にはヨダレがでそうなシステムもあり、どんな音の違いがあるのか聞いてみたい衝動にかられました。同じ部屋に6つもスピーカーを置くだなんて想像を超えます。住宅仕様の5.1システムもあるというから、音環境こだわり派にはたまらないでしょうね。

 
 
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そして竣工したばかりの「舞台の家」。数日前残工事で伺う機会があったのですが、その際見たこともない形の変わったスピーカーを拝見いたしました。Mordaunt-shortというイギリスのメーカーのもので少し調べたのですが、こちらのスピーカーはとんでもなく完璧だそうです。特許ツイーターテクノロジー ATTを採用したアルミツイーターを搭載、ミッドレンジユニット と ウーファーユニットを内部から支える振動対策、特種合成樹脂から成る キャビネット全体の完璧なダンピングによる振動対策、クロスオーバーネットワークの改良、オープンで伸びやかな、また細やかな高音域の表現を可能しているそうです。無理を言って音楽をかけていただくようお願いすればよかった!と今頃後悔しています。次回お願いしようと思います。

 
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スピーカーの世界は奥が深く、面白いです。個人的には小さいけど最大限の音響を可能にしてくれるものを探していましたが、大きなリビングで聞くにはやはり物足りない。存在感のあるスピーカーから聞く音はきっと異次元への音の旅を経験させてくれるのだろうなぁ・・・なんて想像しています。スピーカー1つでさえももこだわりを持って選びたいですね。

「舞台の家」のクリスマスツリーは出したばかりで飾り付けが一つしかついていませんでした。今日あたりにはキラキラしているのでしょうか。想像をするだけでも楽しいですね。とにかく大きくて立派なツリーでした。2.4mのツリーを入れても何の違和感も感じない「舞台の家」のリビングルーム。天井が高いってやっぱりいいですね。

家の香り

先日伺った「陽だまりの家」に入った瞬間、私ははっとしました。心地の良い淡い香りに包まれたのです。この香りはお施主様がマンションに住んでいらした時も私を優しく包んでくれたことを思い出しました。そして走馬灯のようにこの家とこの家族にまつわる思い出が蘇ったのです。匂いは想像以上に記憶とリンクしていると思います。お風呂あがりの石鹸の匂い。夕暮れの住宅街に漂うお出汁の匂い。目覚めと共にキッチンから香るソーセージの香ばしい匂い。学生時代好きだったあの人の匂い。新車の匂い。匂いを嗅ぐとふわっといろんなあれやこれやと記憶や感情が蘇る。「陽だまりの家」の玄関に置かれた上品な匂いは私にとってこの家族を象徴する香りであり、「陽だまりの家」と強くリンクされています。そんな香りに私も憧れて、先日香りハンターのショッピングに参りました。そして今ではこちらの香りが家に帰ると出迎えてくれます。マリエオーガニックのコケエと言う香りなのですが、コケエはハワイにある森林公園の名前から由来し、まるで森林浴をしているような気分にさせてくれます。

 
 
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この香りが最終的に我が家の香りになるかはわからないのですが、今はただただこの香りに癒されています。そして、この香りに包まれると不思議と大好きな我が家とありとあらゆる毎日の出来事に感謝する気持ちになれるんですね・・・不思議ですね。視覚優位な時代だからこそ、生活の豊かさを考える上で視覚以外の感覚も大切にしたいですね。