舞台の家、家具がはいりました!

今日は家具が搬入されました。E&Yのオリジナルソファと製作テーブルです。家具が入ると空間が一気に家らしくなりますね。ソファの生地はお施主様と相当悩みましたが、この色で大正解でした。また、製作テーブルは床材のオークと同材で全長2.4mあるのですが、大きくて気持ちがいいです。今週末のオープンハウスでソファとダイニングテーブルの入った状態でお披露目できるのかと思うと嬉しくて気持ちが高揚します。オープンハウスは家に興味のある方でしたらどなたでも見学可能です。一人でも多くの方に建築家と作る家を身近に感じていただくことを目標としておりますので、家を建てたいとお考えのご友人、お知り合い、とにかく家が好き!な方が周りにいらっしゃいましたら、是非情報を共有してください。弊社のnews欄に詳細は記載しております。

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夜の雰囲気をオープンハウスで見せられないのが残念です。照明設計にもかなりこだわりをもって一つ一つ丁寧に選んだので灯りがついた状態でも皆様にお見せしたかったです。ひたすら私が写真をとってブログに載せるしかないかな・・・

 
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1ヶ月後にはお施主様ファミリーがこの家に住んでいらっしゃるんですよね・・・建築家としてこの上ない喜びを感じております!より多くの方が建築家と一緒に自分のライフスタイルにあった家をつくれる世の中になりますように・・・

キッチンの引き出し

キッチンの引き出しの取手について、最近いろいろと思うことがあったので投稿いたします。

私の自邸では左下の写真のようにコの字の取手が各々の引き出しについています。下の図で行くと左。それはそれで素敵なのですが、たまに取手が邪魔と思う時もあり、現在工事中のH邸では取手をつけない仕様で進めております。引き出し扉の上端を斜めにすることで指を入れやすくするのが一般的な方法で下図の真ん中のようになるのですが、この一般的な方法にはとんでもない落とし穴があることに気がつきました。有効寸法が減るのです!青い部分が枠に追加されるため、下図の例だと295あった有効寸法が250にまで減ってしまいます。青い部分をつけない方法もありますが、そうなると引き出しの中が丸見え。うーん。

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キッチンヘビーユーザーの私としては4.5センチの有効高さの違いはかなり致命的であり、お施主様が料理をなさらない方ならまだしも、一般的なやり方を到底許容することはできず、最終的には右図(右下)の収まりで解決させました。少しお値段はアップいたしましたが、この方法だと取手金物もいらないし、中身も見えないし、有効高さを十分に確保できる!キッチンは毎日使う場所です。引き出し取手のあり方一つでさえも緊張感を持って設計をしなくてはいけないですね!

 
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製作ダイニングテーブル

現在工事中のH邸はLDKがとても広く、天井が吹き抜けとなっているため、バランスを崩さないようにそのスケール感に見合った家具を入れる予定です。ダイニングテーブルは弊社で設計、長さ2.4mとして、E&Yさんに製作していただくことになりました。当初のテーブル設計はキッチンの壁に貼るタイルと同じタイルを利用し、テーブルランナーとして埋め込み、キッチンとの視覚的な統一感を表現する予定でした。

 
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しかし、時間が経ち、お施主様が平滑なテーブルを希望されたので、現在はタイルのないバージョンとなっています。タイルあるにせよなしにせよ、床材と同じオークで作られるこのテーブルは時代の流れやトレンドに左右されない普遍性、そして、シンプルであるからこその美しさを兼ね備えていると思います。こういう家具ってありそうでないんですよね。造作家具はシナで作られ、壁の一部はインテリアラーチ合板となるため、その薄い色味の中に浮かぶ表情豊かなオークのダイニングテーブルとなることを期待しています。

設計段階の小さな喜び

建築家にとってこの上ない喜びはお施主様が設計した建物を気に入ってくれて長く大切に使っていただくことですが、設計段階でも小さな喜びが散りばめられています。弊社ではいろいろなスケッチを打ち合わせでお見せします。現在工事中のK邸では「風通しのいい家」をテーマに進めているため、既存の壁を取っぱらい、高さ1.8mの家具で機能を区切って上はスカスカにしています。そのコンセプトの要となる家具のイメージをより具体的に想像していただくため、このようなスケッチを描いてお見せするのが通常ですが、その時、お施主様が驚いたり喜んだりしていらっしゃる姿を見るのが私の設計段階のプチ喜びになっています。そしてお施主様にとってもこの様なスケッチがプチ喜びになっているといいなと思っています。スケッチの多くは採用されないのですが、それでもこのプロセスを大事にしていきたいです。

 

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コンピューターなどの技術が進み、模型を作ったり、手描きでパース図や詳細図を描くのは時代遅れなのでは?とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。アメリカの事務所ではBIM(building information model)は当たり前で導入すべきはVRでのプレゼンでしょ!ということころまで進んでいます。私もBIMプロジェクトはアメリカで10年以上前に経験ずみです。ただし、プレゼンに関してはプロジェクトの種類や規模によって方法を変えるのが一番いいのではと考えています。弊社ではスケッチアップとVrayというレンダリングのプログラムを導入して、手描きスケッチでは表現することが難しい透明感、複雑な図形、リアリスティックなテクスチャーなどを表現することを実験的に進めています。人の心をより強く動かすのは綺麗すぎるほどの直線なのか、本物っぽく見えるツルンとしたイメージなのか、それとも線の太さが均一でなかったり、濃淡が均一でなかったりする線なのか、雑だけど雰囲気が柔らかく伝わるスケッチ図なのか。今後、少しずつ実験をしながら、プレゼンの表現領域を増やしていこうと考えています。

家具と建築とライフスタイル 

昨日はホームパーティに招かれました。私はホームパーティが好きです。時間を気にせず、周りのテーブル客を気にせず、どっぷりと会話を楽しめるから。そしてこのようなホームパーティの要にあるのはテーブルと言っても過言ではありません。昨日伺ったお洒落な家にも足場板で作った素敵なテーブルがありました。足場板を5枚つなげているため幅は1m程あったと思います。長さは2m程。この大きなテーブルがリビングルームの中心を占めます。テレビ台とかありません。私の設計ではないのですが、このテーブルありきの設計であったことは一目瞭然です。住む人の生活のプライオリティを感じます。

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また、テーブルと言って思いつくのは私の前職のボス、手塚貴晴・由比さんの自邸のテーブル。4mのテーブルは手塚ご夫妻の設計です。長いですね!食事も、仕事も、打ち合わせも、パーティも、工作も、宿題も、遊びも(←子供達)そのテーブルを囲んでします。グランドピアノも、ソファもありますが、そのテーブルが断トツ一位で生活の中心にあるような気がします。いつでも家族の集まるテーブル。家族との絆を大切にする手塚さん、由比さんの家族哲学がそのテーブル設計に込められているといつも感じていました。

他にもテーブルと言って思いつくのが前々職、Olson Kundig ArchitectのTom Kundigさんが設計したテーブル。芸術家さんのアトリエの設計で倉庫のリノベプロジェクトでしたが家具設計にも一貫した言語を使い、かなり洗練された空間になっています。大きな車輪が印象的なテーブル。これは6mはあったのではないでしょうか。自宅ではないため、sit downのパーティ用ではなく、カクテルパーティを意識していると思います。写真はお借りできないのでスケッチしてみました。

建築家に設計を頼む時、どんなライフスタイルを目指しているか。どんなライフスタイルに憧れるか。何をしている時に幸せを感じるか。自分にとって中で何が大切であるかを是非建築家に語ってください!建築家はそこからヒントを得て、大きなテーブルを想定した設計を提案するかもしれないし、掘りごたつのあるリビングを提案するかもしれない。テーブルではなくて、巨大な本棚かもしれない。長いソファーかもしれない。大きなワードローブかもしれない。いずれにせよ、既存家具、作り付け家具、新規家具を含めた設計も建築設計の一環として扱うことでより一貫性のある建築設計となり、ライフスタイルがより充実したものになることは間違いないと思います!