弊社のインプット時間
アメリカの事務所では知識や経験のインプットの時間が多くありました。
私が勤務していた頃の(12年前)オルソン・クンディグ・アーキテクツでは月曜日の朝必ず午前9時から社員全員が集まって大きな輪になってミーティングをしました。事務所が用意してくれる菓子パンとコーヒーを片手に最初の30分は各々がやっていることを一人ずつ発表する時間。他の人がどんなことをしているのか、先週と比べてどんな進捗があったか等知ることができます。残りの30分は文化人や建材の紹介をしてくれる人を招いてレクチャーをしてもらったり、防水や断熱のお勉強会だったりと毎週様々なことが企画されていました。それだけではなく、木曜日の午後5時半(からだったかな?記憶が少し曖昧です・・・)からはopen critと言って進行中のプロジェクトの担当者が図面を壁に貼って、現在どんな設計になっているか、どんな問題を抱えているかなどを発表し、それを他の人がああでもない、こうでもないと意見を言い合う時間。ワインと軽食が用意され、ほとんどの人が参加していました。20代から60代までいた社員が同じ部屋で同じことに耳を傾けいろんな意見を交わす時間は貴重なインプットの時間でした。
インプットの時間を弊社でも作りたいと思い、勤務時間内に美術館巡りはどうかと実験的に行いました。今回行ったのはのアアルト展@東京ステーションギャラリーとコルビュジエ展@国立西洋美術館。東京には建築家が学べる展示が多く企画されてあるのに週末の込んだ状態で展示を見るのが非常に苦手な私は結局行けず終いなことが多くありました。我々の仕事は激務になりがちなので気がついたらお尻にカビでも生えるのではと思うくらい不健康な生活をしている時があります。設計について悶々としていても、ずーっと画像検索をしていても、いいものが生まれるはずがない。感性を研ぎ澄ませるためのインプットは建築家にとって非常に大切なのです。今回はアアルトとコルビュジェの世界にどっぷり浸ることができ、質の高いインプットとなりました。所員を雇うようになってもこのインプット時間は続けていこうと思います。