老後の生き方の選択肢を増やす
現在進行中のプロジェクトの一つに空き家をシェアハウスに改修するプロジェクトがある。シェアハウスと聞くとどことなく若い世代向けの物件というイメージがあると思うが、今回は賃貸物件を探すのが難しいと言われる高齢者をメインに多世代型のシェアハウスを考えている。独居高齢者の社会からの孤立化などの問題に、少しでも多くの人が目を向け関心を持ってもらえたらと切に願い、このプロジェクトの進行はこのブログで追っていく予定だ。
現代人の生き方は様々である。「結婚をして子供を産み老後は子供達に面倒を見てもらう」という選択肢はたくさんある選択肢の中の一つでしかない。結婚をしても子供を望まない人。子供に恵まれない人。離婚をして子供と絶縁の人。結婚に興味のない人。晩婚の人。同性が好きな人。など、子供と縁のない生き方は多く存在し、その方々にとって老後子供に世話をしてもらうという選択肢はない。また、子供がいたとしても元気な独居高齢者の中には子供のお世話になるのは御免だと思う人も少なくはないだろう。でも、本音をいうと毎日一人は寂しい。似たような世代の人達とビートルズとカーペンターズを聞きながら、ゆったり住めたら気が楽だなんて思う人もいるのではないか。そんな中、高齢者のシェアハウスは老後の生き方の選択肢を増やしてくれるのではと期待している。高齢者であろうがなかろうが、シェアハウスは自分達で生活のルールを決めることができる。面倒くさいと思うなら、自炊はしないで宅配サービスを利用すればいい。料理が得意ならみんなの分を作ってお金を徴収すればいい。掃除が嫌なら、週一で掃除のヘルパーを雇ってみんなで割勘してもいい。趣味のお茶会を催してもいいし、日帰りで行ける温泉旅行を企画してもいい。一人になりたい日は自分の部屋に閉じこもってもいい。自分達らしく過ごせるようにルールを決め、新しい生活のリズムを自分達で作り出す。これがシェアハウスの醍醐味だ。
今の60代、70代、80代はまだまだ若い。元気だ。ただ単にある年齢以上だからと言う理由で「老人」という枠組みに押し込み、彼らの元気や個性を決して吸い取ってはならない。現在は人口の1/4が65歳以上。18年後には1/3の人口が65歳以上になるそうだ。まだ私は30代だが、たまに自分の老後について考える時がある。いつ自分が独居老人になるかは分からないが、その時までにはいろいろな選択肢のある時代になっていればと願う。
このシェアハウスが可能になることで一人でも多くの独居老人が孤独から解放され、自分らしい生活を築くことができるように。そういう思いを込めてこのプロジェクトを進めている。